かりぐらしのもりえってぃ

今回ブログを担当するのは森です。

先輩の横山が無理やりにブログの内容を決めたので、やむなくそれに沿った内容にしたいと思います。

これがパワハラか…。先輩の圧、怖いですね。

さてブログのタイトルは意味不明だと思われますので補足しますと、

日常をつれづれなるままにそこはかとなく書き綴る日記調ブログ…。

そう、これは徒然草。そう、私は兼好法師。

おっと、正気を失いかけてしまいました。いけないいけない。

それでは本編に入りましょうか。

私はしがないバイトですので、こだまには毎日出勤しているわけではありません。

では出勤していない日は何をしているのか?

正直なところ誰も興味はないと思うのですが、ブログのテーマとして決められてしまってますので是非も無し。

そこで今回は特別に、謎に包まれたUMAの生態に迫っていきたいとおもいます。

 

 

朝は一杯のコーヒーから始まる。

専門店で購入した一級品を今朝挽いたばかりだ。香りの豊かさが違う。

色々なエッセンセスを感じるアロマのシンフォニーと、舌が驚くほどの苦みを味わいながら、

くたびれたソファに深々と座り朝のけだるさを演出する。

ちょっと絵になるそんな自分に酔いしれていると、

 

プルルルル…プルルルル…

電話が鳴った。

滑りやすい小型の携帯をファンブルしながらポケットから取り出し、呼び出し音が切れる前にコールに答える。

通話ボタンを押すや否や、電波の向こうの人物から挨拶もそこそこに依頼が入った。

「あんたが仕掛けてくれた罠によぉ、何か掛かっとるみたいだで」

ふっ。仕事の時間のようだ。そう、俺の仕事はハンター。浜松CITYで活動するCITY HUNTERだ。

カップの底に残ったコーヒーを飲み干すと、勢いよくソファから立ち上がった。

 

 

古びたシャッターを開けて、薄暗い倉庫に足を踏み入れる。

闇に慣れていない目でも危なげなく歩いて行ける。それだけ何度も歩いてきた。

目的の場所で歩みを止めると、棚に置かれいたベルトを腰に巻く。

ベルトに装着された愛用のコンバットナイフを鞘から抜き出し、傍にあったじゃがいもを切って切れ味を確かめる。

種芋にするにはやや大き目な芋はストレスなく半分に綺麗に切れた。植え付けにはちょうどいい大きさになったぜ。

健在な切れ味を確認し再び鞘に納める。

仕事に出る前に道具の確認をすることは重要だ。それが命がけの仕事ならなおさらだ。

更に特製のカートリッジを覗いて残弾数を確認し不足分を補充する。

そして定位置にある相棒をひっつかむと全ての準備が終わった。

その他の細々としたアイテムを積んだままにしている愛車に乗り込むと、連絡のあったポイントへ向けてアクセルを踏み込んだ。

ミッドシップ2シーターの狭い室内はおよそ快適とは程遠いが、隘路険道の多い土地柄代えられない性能を持っている。

走り屋として腕を磨いてきたドライビングテクニックで、曲がりくねった山道をスムーズに駆け上がる。

とはいえ現場はすぐそこだ。水温計が上がる間もない。

大抵の罠は民家からほど近い山際の斜面に仕掛けている。

それは俺の獲物は人に害をなす獣に限られているからだ。

俺の住む地域のような衰退した中山間部では野生生物が人の生活を脅かしいる。

それに対する対応が有志による有害獣の駆除だ。俺もその活動に協力している。

 

道路から斜面を見上げると、警戒の色を露わにした大人の鹿が見下ろしていた。

素早く状況を確認すると、罠で使用したワイヤーはしっかり後ろ脚に掛っていてすぐに外れそうな感じはない。

罠にかかった鹿の可動範囲は暴れてワイヤーが絡まったため半径1mほどになっている。

周囲に人や物はなく、生い茂った草木はやや邪魔ではあるが、かなり安全な現場である。勿論そうなるように罠は仕掛けるものだが。

俺は車から愛用の得物を取り出すと鹿に向かって歩きだした。

狩猟の止め差しにおいて使用される道具は銃がポピュラーだと思われているが、実は銃の所持者は少ない。

銃は使用者が安全に止め差し出来る道具ではあるが、所有や使用に関する制約が厳しい上維持にかかる費用もばかにならない。

警察からの無理のある規制もされているので、今後も所有者は減っていくことだろう。

そんな理由で罠猟のハンターは様々な道具を使い、自分で考えた安全な方法で止め差しを行こなう。

俺の得物は数多の実戦を経て改良に改良を加えた自作の槍だ。穂先を差し替えて使用するのでスペアが必ず複数本要る。

獲物に向かって歩きながら、ベルトにぶら下げたカートリッジから穂先を抜き出し装着する。

囚われの鹿は必死にこの場から逃げようと右へ左へと飛び跳ねるが、4mmワイヤーはそう簡単には切れはしない。

尤も大きなイノシシだと絶対に安心とは言えないのでその時は注意は必要だ。

因みにこの時期で角のない大人の鹿はメスと言うことになる。大体体長120cm50kg程度中型サイズ。推定2才。

メス鹿は角も無く体格も貧弱なので威圧感も無く、止め差しは非常に容易な部類だ。

槍を構え狙いをつけると獲物は大体こちらに向き合い正対することが多い。

弱点である腹部を晒さないための自然な防御反応ではあるが、俺にとってみれば好機だ。

電光石火で槍を突き出すと狙い違わず鋭い穂先が心臓のある位置を貫いた。

なんだと…と驚愕の表情(イメージ)のまま悲痛な叫び声をわずかにあげながら鹿はその場に崩れ落ちた。

一撃。車を降りてから3分。カップラーメンが出来上がる時間で狩りは終わった。

尤も俺はカップラーメンは3分待てない。2分経ったくらいの硬めの麺が好みだ。ん?これはいったい何の話だ?

血抜きのためと完全なとどめのため首の頸動脈をナイフで切ったあと、後ろ脚をひっつかんで車まで引きずっていると、

連絡をくれた近所の爺様が足を引きずりながらニコニコした表情で車のほうに歩いてきた。

「ご苦労様。鹿を捕ってくれてありがとう」とねぎらいの言葉と良く冷えた缶ビールをくれた。

この仕事の報酬は美女の微笑み…ではなく、老爺の感謝とビールだったが俺は十分満足している。

元々何か人から報酬が欲しくてやっている仕事ではないからだ。

しかしどうせなら美女の微笑みなどが報酬である方が…げふんげふん。

その後も雑談をしながら作業を続け鹿を荷台に積み込んだところで、別れの挨拶をしつつ車を出した。

その時携帯が震えた。

携帯を開きショートメールを確認する。

「XYZ」

とだけ文字が並んでいた。また仕事の依頼が入ったようだ。

 

 

 

※捉えた獲物は気が向くと食肉加工しています。つまり、この日のディナーは鹿の香草焼きだ。

 

 

 

エンディング曲

Get Wild animals

アスファルト タイヤを切りつけながら

山道走り抜ける

チープなタイヤに身を任せては

落ち葉に怯えていたよ

It’s your pain or my pain or somebody’s pain

誰かのために生きられるなら

It’s your dream or my dream or somebody’s dream

何もこわくはない

Get wild and tough

一人では 解けない絡まるワイヤにキレて

Get wild and laugh

この里のきびしさに挫けたくはない

Get chance and luck

俺だけが守れるものがここにはあるさ

Get change and talk

ひとりでも諦めた夢をとりもどすよ…